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真冬なので 2006.01.31  


 暇なので、雪なので、お客様も私もじんわりと話が弾む。おとといも昨日
も今日も、年上のお客様が多く、こちらは聞き手側。年明けは市場に行った
り、娘が気管支炎になったり、古い友人に会いたくなったりして、店に出な
い日が多かった。今週から、オープンからクローズまでいるようになると、
「あけましておめでとうございます」とご挨拶する方ばかり。
          
 ある会社役員のお客様。車に運転手を待たせて、少し前の漫画の話、
あと、紅茶のおいしい店の話。紅茶の話ではつい話す側になった。
本を触る度に「手を拭くの貸して」と言う。
          
 鉄の彫刻家Sさんご来店。幼児教育と美術の話。
「いい親には悪い子が育ち、悪い親にはいい子が育つ」
これはいいことを聞いた。Sさんは宮城県美術館で子供に美術の話を
する仕事をしている方だ。
          
 花農家の和田さんがシンビジウムを持って来てくれる。あまりにも
うれしく、きれいなのでその場でみなさんにもお裾分け。和田さんの
シンビジウムは茎が太くてとても長持ちする。去年はお正月にいただ
いて、3月まで枯れなかった。また和田さんの花に会えてうれしい。
          
 今日は出羽三山の山伏である小関さんがご来店。湯殿山は全国で見
つかった即身仏の2/3があるという。山のなかで木食行をして昇天
した即身仏の想いは想像しても追いつかない場所にあるなぁ。
節分は暦の上でとても大切なのです。と言っていた。
2月3日は今週の金曜日ですね。次の日は立春。
          
 夕方、Rちゃん。この人は年下の女性。お店を閉じるという。
顔は晴れやか。しっかり次が見えているからだね。
惜しむ人たちの顔も浮かぶ。
松下竜一の「ビンボーひまあり」お買い上げ。
松下先生、Rちゃんをよろしく頼みます。
        
なんかその時の庭番便りによって文体も、内容もガラリ変わって、脈絡のな
いものになっています。今後もこんな感じでいきたいと思います。
        
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ときどき読書日記 2006.01.31  

 河北新報でコラム連載を始めたとたん読書欲が湧き出てきた。書こうとす
ると読みたくなるものです。
 すると近所に夜の12時まで営業するあゆみBOOKSがオープンするではない
ですか。すぐそばの地元書店の金港堂は大丈夫かなー、と思いながらもまん
まと入る。(いや開いていれば金港堂へ行くのです。)
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 スピリチュアル本、花盛り。その中にティク・ナット・ハンを見つける。
タイトルは「禅的生活のすすめ」え、こんなタイトルつけるとは思えない。
あと書きを読むと、原題は「真の平和を創造する」だった。でもこれも日本
語にすると伝わらないような…。
 装幀も気に入らない。少し前にベストセラーになったスピリチュアル本
そっくりだ。両者はまったく違うと思うけど。まぎらわしいことするなー、
とぶつぶつ言いながらも買うことにする。「結果的に多くの人が読むことに
なればいいのではないか」という意見も聞いたが、そうだろうか。
 ティク・ナット・ハン擁護のために少し。ベトナムの僧侶であるティク・
ナット・ハンは2度戦争を経験したのち平和運動を展開、それにより追放処
分とされ、30年たった今も亡命生活を送っている。ベトナム戦争和平のため
に尽し、パリ平和会議に仏教徒首席代表として参加する。ダライラマと並び
称される人。現在はフランス南西部に創設した「プラム・ヴィレッジ」で生
活する。
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 今一番読みたい荒川洋治の「文芸時評という感想」(四月社)は3200円。
手にとればずっしりと重い。新書5册分の内容はあるから仕方がない、買お
う。2段組の340ページ。読みはじめるとページに目がくっついて離れない。
荒川氏の文学への愛は厳しく深い、豊かな父性たっぷりの愛だ。詩人の荒川
氏の言葉を読んでいると、詩は小説のお父さんなのかしらと思えてくる。
文学全体を思っているから、気に入らない作品も多く入っている。気に入ら
ないものを語る時の方が、エネルギーを感じる。今まで漠然とあった丸山健
二や保坂和志、町田康、村上春樹らに対してのもやもやした感触が、荒川氏
の的を得た評論を読むうちに消えていくのを感じた。軟弱な頭に針を打たれ
たのだった。
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 レジに行くと、金港堂からあゆみBOOKSへ贈られた開店祝いの花が飾って
あった。皆、書物の灯を守る番人。共存共栄できればいいな。

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新入荷がわんさか! 2006.01.24  


 「みなさ〜〜〜ん、本がたくさん入荷しております」
 この大声が聞こえればいいのですが。昨年暮れから年明けにかけて水戸、
岩手、福島の市に何度か行きまして、ようやく整理、値付けが終わって棚に
並べました。湯気が出そうな鮮度です。ウェブの新着本のコーナーにもアッ
プしていきますので、どうぞご覧ください。洋書絵本も少しづつ載せていく
予定です。
 ご来店の際はお足元にご注意を。歩道がツルツルに凍っております故。北
向きなのでなかなか溶けないのです。お店のなかはポカポカですよ。この季
節だとカルダモンティー(チャイ)がおすすめです。

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2006年初庭番便り 2006.01.06  

あけましておめでとうございます。
2006年もどうぞよろしくお願いいたします。

 昨年はなんといっても田中栞コレクション「書肆ユリイカの本」展を開催
し、それに合わせて製本講座と装丁講座を火星の庭で行えたことがとても大
きな出来事でした。そしてうれしいことはそのときの出会いが今も続いてい
ることです。
 火星の庭から歩いて7分のところで製本工房を営む岡田さんと今日話して
いたのは、「お店のようにいつもある場所で講座を行うことで、その後の人
のつながりが複合的になる」ということです。公共の施設だと、その後そこ
に行ってもその講座をした人がいるわけではないし、情報が得られるわけで
はない。お店という場の可能性を感じたうれしい瞬間でした。
 これからはモノをモノとしてだけ漠然と売っていては私のようなキャリア
なし、資本なし、気が多し、みたいな人間はやっていけないだろうと痛感し
たのも、本の世界のプロの方々達と接する機会によってでした。かといって
古本屋に来る最大の動機が「本というモノ」であり、それを極める努力を怠
らないで、人が集う場づくりをしていきたいな、と思っています。少しづつ
ではありますが。
 よって今年も「本にまつわる面白い講座」を計画中です。元旦に発行され
た「紙魚の手帳 おしゃれな蔵書票」特集(好評販売中!)を見てすっかり
蔵書票の魅力にとりつかれ、田中栞さんに再度ご協力いただいて、蔵書票展
と蔵書票講座を予定しています。岡田さんが企画している製本講座も何種類
かやりたいと思います。いろいろ動きだすのは、春以降になりそう。ただい
ま仙台は氷のなかですので…。

 お知らせが一つ。東北の新聞社、河北新報で1月からコラムを連載してい
ます。第1回が1/10(火)。3週間おきの火曜日朝刊(「微風旋風」と
いうミニコーナー)に掲載されて6月まで。古本の周辺の話を書いています。
うそ偽りのない話。もしお手元にありましたら、御一読を。

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